Cuernavaca

神奈川県南西部 食と生活

キウイフルーツ

小田原ではかつてみかん栽培が隆盛を見せていました。
しかし1970年代中頃、栽培地を大幅に増やしたことによりみかんか価格が暴落し、農家は転作を余儀なくされます。そこで奨励されたのがキウイフルーツの栽培でした。
キウイと言えばニュージーランドが有名ですが、南半球と季節が逆である北半球においては、その出荷時期がかぶることなく棲み分けされており、日本の冬の時期にはおもに日本産が出回ることになります。
さて今の時期、日本のキウイフルーツは栽培歴において一番重要な仕事の真っ最中となっております。

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5月の中頃から雄の花が咲き始めます。
その花弁を収穫し開葯器にかけ花粉を抽出します。
その花粉は石松子という花粉に近い粒子を持つものと混ぜられかさ増しされ、
コロンブスという授粉専用の機器にて授粉作業が行われます。

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開花した雌の花に花粉を吹き付けて行く作業です。これを延々と続けて行きます。
雌花が花粉を受け入れる時間としては開花から二日といわれています。すべての生命がそうであるように子をなす最適な状態があると言うことです。
木の状態ににもよりますが、一定面積に生育させる実の数というのは果実肥大と反比例の関係にあります。理想としては最大肥大・最多収量を目指すものですが、着果は木にとって一番の負担となるので、翌年の母枝を残すこと、栄養残存が枯渇しないようにする、など冬の剪定から春の摘蕾、摘果に渡りトータルで先を見越した作業が必要となります。
要は、不必要に花を残さない。木にとって不要な栄養消費を抑える、夏季の蔓繁茂に関し今から対策をするなど、多分に専門的な技術も必要とされるものです。
しかし実際は冬の剪定の段階から作業が追いつかず、技術の継承もなされていないため最低限の剪定でやっつけ的に行われている状態です。
そうなると母枝過多、花過多、木は衰弱し、花は小さく実も小さなものになってしまいます。
耕作放棄地が増え、一部の大規模農家がそれを請け負い管理・栽培している状態なのですが、人の作業にも限界があります。それは重労働の極みといえます。
今では米農家の時給が低いなどと散々言われておりますが、農業の労働生産指標なんて「労働時間と収入との対比」ではかれるものではなく、農という営み、その循環の中で自分が自然に対し何をなし得たか、その労働が農作物に及ぼした影響、それが持続可能で発展して行くものなのか、その方が大事なのです。
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剪定においては、1平方メートルにどれだけの母枝を配するか。
摘蕾に関しては、三つ花はもとより小玉果を生みやすい弱い枝に過剰な着花を見極めた大胆な除去。
授粉においては、センサーによる圃場毎の日照時間や気温のデータ蓄積により開花を予想し、そのときに重点的に授粉作業を行う。
こういう基本的なことが未だに出来ていないというのが現状なのです。
毎年のように起こる「観測史上初めて」と言われる異常気象。気候変動、自然災害に翻弄され、いきおい人の労働は旧態依然どころか、ますます過酷さを極めています。こういう労働はとうてい時給には換算できない種のものなのです。
何が言いたいかというと、、、毎日疲れ果ててブログの更新が出来ないということですw

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梅の剪定作業も無事終了し、後は花が咲き、実がなるのを待つばかり。
剪定して仕上げた木は、1月30日から当地の「梅祭り」にて公の鑑賞にさらされることになります。
(本年の開花状況はほぼ平年並みと思われ、一月下旬には「十郎」は満開。「南高」は8分咲きの様相であると思われます。)

我々の作業も梅に続き、キウイフルーツの剪定に入りました。
キウイの剪定の要諦。
キウイはぶどうや柿と同じく、昨年実がなった部分より内側には新梢が発生せず、実もならない。
年々結果部分は枝の先端へと移り、木はどんどん大きくなると共に内部は空洞化してしまう。
そこで古い枝の基部から発生した”突発枝”を生かし、貧弱な母枝を枝先端部から順に除いていく。残す芽の数は一平方メートルにつき25が最適。
これがキウイ剪定の"教科書的解釈”となります。

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